さて、8月17日開催の『宴』にて演奏予定の曲を少しずつ紹介します。
矢張り最初は『空家の風鈴』
8月17日の演奏会で、というよりも、今の自分があるのは
この曲のおかげといっても過言でないくらい、私にとって大切な曲です。
何年か前に大病をして、「歌う人生」を終わりにしなければいけないかな、
と悩んでいた時に出会った曲の一つでした。
当時、何とか歌って生きる道を模索すべく、
パラパラと日本語の曲の楽譜をめくっていると、関西弁の歌詞が目に飛び込んできました。
日本のポップスでもそうだと思いますが、
そもそも『方言』のまま詞になっている曲はあまりありません。
ばばっと思いつく限りでも関西弁で
やしきたかじんさんの「やっぱ好きやねん」とか、
SMAPの「Hey!Hey!おおきに毎度あり!」とか、
あとはウチナーグチ(琉球語)で「島唄」とか「てんさぐの花」とか?
合唱曲なら、蓬莱泰三作詞&南安雄作曲コンビで
最近トラウマソングで有名な「チコタン」とか
「日曜日 ~ひとりぼっちの祈り~」とか…。
日曜日~は、小学生の頃抜粋で歌いましたが、あまりにも悲しい曲で、
だけど旋律と関西弁の美しさに心を奪われた曲でもありました。
ふと、その時のことが心をよぎり。
何故、方言の曲って少ないのかなーなんて思ったこと、
そして、私自身は愛媛出身で関西弁が分からないことはないですが、
たまたま家族が関西出身ということもあり、
ネイティブ関西人(笑)が近くにいるし何とかなりそう!
この曲、やってみようかな?と思ったのが風鈴との出会いでした。
実際やってみると、速度は変わるわ、調も変わるわ、
そして歌曲には珍しくセリフが出てくるわ…
そう何より難しかったのが関西弁でした。
「言霊」という言葉の通り、どんなに練習しても、
関西弁のネイティブのそれにはどうやっても届きません。
しかも当時は関東在住で、関西弁が日常にあふれていない環境です。
当時の私が歌いこなすにははっきり言って難解な曲でした。
でも、詞の風鈴は愛すべきキャラクターでした。
そして歌えば歌うほど、この歌の面白さを何とか表現したい!と思うようになっていきました。
愛媛に住むようになって、少しは西の方のイントネーションを思い出したものの、
今でも「関西弁」はネイティブのそれとはやはりどこか違いますし、違うようです。
だから関西の方は聞いたら背中にぞわぞわっと何かが走るかもしれません。
それでも歌うこと、表現することの、
そして私にとって大事にしたいことを改めて思い出させてくれ、
演奏することで「それでええんやでー」と風鈴に教えられたような気がしますし、
模索してた道の一つが見えた気がした、そんな大事な曲となりました。
17日も夏、ということで、久々に演奏します。
季節は夏、といっても恐らく歌詞的には多分秋も近づくころ…なのですが、
立秋も迎えたからいいかな?
風鈴は一番好きな曲というのもあり、語りだしたら止まりません。
そこはかとない風鈴愛は尽きることがないですね。
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矢柴成雄 (日曜日, 11 4月 2021 08:29)
母の歌をこのように感じていただいて嬉しく思います。ありがとうございます。